労働安全衛生研究
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調査報告
粉砕機及び混合機を対象とした労働災害分析
—労働損失日数の活用によるリスクの定量的評価と比較—
濱島 京子 梅崎 重夫板垣 晴彦
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2012 年 5 巻 2 号 p. 87-97

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抄録

粉砕機及び混合機による労働災害は年間あたり死亡災害が約10件,休業4日以上災害で約250件発生しているが,業種や機種,作業においてどの程度重篤な災害が発生しているのか,その実態は明らかにされていない.そこで,「労働損失日数の活用によるリスクの定量的評価手法」を用いて,これらの項目に対する全労働損失日数を算定しリスクの定量化を試みた.分析の結果,混合機・粉砕機全体での全労働損失日数は131.6×103日/年であった.ただし,この中には本来,食品加工用機械を起因物とすべき災害が19.5×103日/年含まれている.業種別では,清掃・と畜業,化学工業,食料品製造業,窯業土石製品製造業の順にリスクが高く,これら4業種にて全労働損失日数の約68%を占めていた.機種別では,破砕機・クラッシャー,攪拌機・混合機,粉砕機,食品加工用機械,混練機(ニーダー等)の順にリスクが高く,全体の約80%を占めていた.可動部別では,羽根・翼,刃,棒・軸(シャフト,ローター含)にて全体の約39%を占めていたが,これまで可動部として考慮されることの少なかったゲートや蓋などの開閉部のリスクが,これらに次いで高いことが明らかとなった.作業別では,清掃が最もリスクが高く,次いで保守・点検・修理,原料投入,運転・製造,詰まり除去の順であり,これらの作業にて全体の75%を占めていた.

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© 2012 独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
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