労働安全衛生研究
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特集総説
臨床現場における「新型うつ病」について
生田 孝
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2014 年 7 巻 1 号 p. 13-21

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抄録

いわゆる「新型うつ病」が近年世間に広まり,産業保健の現場でも「新型うつ病」の社員にどのように対処すべきか,多くの企業で喫緊の問題となっている.しかしながら,精神医学的に見ればいわばこれは「ゴッタ煮」概念であり,そこには,疾患としてのうつ病や軽度の精神病,神経症,ある種のパーソナリティ障害,適応障害,怠業や逃避行動,あるいは健常者における一過性の不適応行動まで含まれており,学問的な信頼性と妥当性を有した疾患概念ではない.しかしながらそれは,いわば現代日本の時代精神を反映している.その意味で「新型うつ病」は,極めて流動的であり,数十年の時間スパンに耐えうるかどうかは疑問である.その内実を知るには,精神疾患の成因論的視点が不可欠であり,少なくとも当該者の対応には,経験を積んだ精神科医による詳細な生活史の把握と成因論的(つまり,心因性・内因性・外因性の)見方,および状況因と性格因的視点が不可欠である.

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© 2014 独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
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