労働安全衛生研究
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化学プロセス産業における変更管理のあり方
島田 行恭 斉藤 日出雄
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2014 年 7 巻 2 号 p. 89-99

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抄録

化学プラントは当初の設計に従って建設された状態のままで運転し続けることはなく,原料や製品のスペック変更や,装置の改造など様々に変更しながら生産活動を行っている.これらの変更は適切に管理しなければ事故・災害の発生に至る可能性が高いため,変更管理(Management Of Change;MOC)として重要視されており,例えば米国OSHAのプロセス安全管理(Process Safety Management;PSM)では変更管理を一つの重要な要素と位置付けている.
変更管理を適切に行うためには,変更管理に関する業務や必要な資源・情報を明示化する必要がある.(公社)化学工学会安全部会では「変更管理のあり方」ワーキンググループを設立し,プロセス安全に関する変更管理の課題を抽出するとともに,以下のような論理的に整合の取れた変更管理の仕組み作りを目指した議論を行っている.①PSMの観点から変更管理の位置付けを明確にし,変更及び変更管理の明確な定義を与えるとともに,要求される管理の要点を整理する.②「グレーな領域」について,海外のガイドラインで述べられている「同種置き換え(Replacement in Kind;RIK)」とみなされるかどうかを検討し,その具体的な事例を提供する.③変更管理を見える化するために,プラントライフサイクルエンジニアリングの業務プロセス上で変更管理の事例をトレースする.これらの議論の結果はテクニカルレポートとしてまとめられている.本稿ではこのテクニカルレポートに基づき,変更管理のあり方について示す.

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© 2014 独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
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