抄録
平成28年6月から,一部の化学物質についてリスクアセスメントが義務化される.これまでは,規制のある物質について作業環境評価(測定)を行って作業場の管理を進めていたが,規制対象外の化学物質のリスクアセスメントについては,企業の自主性に委ねられた部分が大きかった.今回の法改正の後は,化学物質を扱う主体となる人達が,有害性・危険性,それに対応する管理方法に関する情報を共有し,責任を持って化学物質に向き合うことが求められる.リスクアセスメントは必ずしも,現場の濃度測定を実施しなくても可能な部分もあるが,当研究所の環境計測管理研究グループではばく露測定の技術開発・応用を中心に研究を行っていることから,最近の実例としてナノマテリアルのリスクアセスメントを紹介し,リスクアセスメントについて考える.