労働安全衛生研究
Online ISSN : 1883-678X
Print ISSN : 1882-6822
ISSN-L : 1882-6822
調査報告
動物看護師における放射線防護に関する実態調査
湯川 尚一郎 藤本 知美湯川 元美浅川 冨美雪嶋田 照雅久保 喜平
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 9 巻 2 号 p. 73-78

詳細
抄録

目的:動物看護師を対象とする,小動物診療施設内での放射線防護と放射線教育についての報告はなされていない.よって現職の動物看護師を対象に放射線に関する基礎的な知識・理解,放射線防護を正しく理解し実施できているかについて調査を実施した.

対象と方法:各種動物看護師向けセミナー会場において,本研究の趣旨に協力の意思を示した現職の動物看護師255名を対象とした.最終的に230名を解析対象とした(有効回答率:90.9%).

結果:「X線撮影補助時に被曝の影響に不安を感じるか」に対し,「不安を感じる」と回答した者は45%であった.「放射線と放射能の違い」「放射線の種類」という放射線の基礎的な知識についての質問に半数以上が「理解していない」「知らない」と回答した.「個人線量計を毎回着用している」と回答した者は半数に満たず,「個人線量計で自分の被曝量を把握している」と回答した者は30%未満であった.

考察:動物看護師を対象に行われた今回の調査で,放射線の知識・理解不足等が認められた.また放射線防護に関する管理体制については早急な対策が必要である.今後,動物看護師に対してさらに詳細な調査を行い,対策を検討し,小動物診療施設における産業保健活動のより一層の向上を目指す必要がある.

著者関連情報
© 2016 独立行政法人労働安全衛生総合研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top