2020 年 40 巻 2 号 p. 180-183
リリース時には上腕骨頭は後方変位力を受けるとされる.この際,肩外旋筋群が骨頭変位を抑制するという仮説が考えられる.今回,リリース動作が内旋可動域制限の要因となり得るか分析した.対象は野球経験のある大学生18名とした.課題は,固定した圧力計をリリース動作のように前方へ押す動作(約1回/秒で30回×2セット)とした.課題前・後と翌日に内旋・外旋可動域を測定した.内旋可動域は課題前32±11度,課題直後23±11度,翌日25±10度だった.課題前と比べて課題直後,翌日は有意に減少した.外旋可動域は各測定間に有意差はなかった.肩内旋可動域制限はフォロースルー期における減速動作のみならず,リリース動作も要因になることが示唆された.