2020 年 40 巻 2 号 p. 206-210
本研究の目的は,シンガポール共和国の野球ナショナルチーム選手に対するメディカルチェックの結果を検討することである.対象は,シンガポール共和国の野球ナショナルチームに所属し,メディカルチェックに参加した24選手である.現在と過去の疼痛や障害の有無を調査し,肩・肘の評価を行なった.その結果,肩甲骨位置不良は75%,肩甲骨内転制限は71%に認められた.投球側の肩および肘痛既往は,それぞれ58%,54%,メディカルチェック時に肩および肘痛はそれぞれ29%,21%に認められ,いずれの選手にも高率に肩甲骨位置不良および肩甲骨内転制限を認めた.投球障害肩や肘の割合が高い理由として肩甲骨位置不良などの機能不全がベースにあることが要因の一つと考えられた.