2021 年 41 巻 2 号 p. 83-88
膝前十字靱帯(ACL)再建術後に再生した半腱様筋(ST)腱の安静時および伸張時の組織弾性と術後時期との関係を検討した.対象は,ST腱を用いACL再建術を行なった術後1~18ヵ月の22名とした.超音波剪断波エラストグラフィを用い,安静時および伸張時のST腱の弾性率を計測した.安静時のST腱弾性率の健患比率と術後時期は,有意な線形回帰を示した.伸張時では有意な線形,対数,2次回帰を示し,対数で最も大きなr2値を示した.再生ST腱弾性率の回復過程は,安静時は線形に,伸張時は対数的に回復した.回帰式より伸張時の腱弾性率は術後3ヵ月で健側の80%まで回復し,機能的特性はより早期に回復することが示唆された.