抄録
本研究の目的は,人間作業モデルが日本の作業療法にどのように取り入れられたかという歴史的過程を,文献検討により明らかにすることである.作業行動理論に基づく臨床モデルである人間作業モデルのテキストの各部分が,対象文献で引用された頻度をみた結果,人間作業モデルの知識の利用は,構成要素から評価法,リーズニング,介入方法,治療戦略,そして,プログラム開発や研究へと進展している過程が明らかとなった.しかし,プログラム開発や研究にはまだ,十分に着目されていないこともうかがわれた.今後は日本の作業療法の発展のために,エビデンスをさらに構築する目的で人間作業モデルを用いることも求められる.