2019 年 38 巻 5 号 p. 617-622
作業療法の介入では,人生観や生活観をふまえた興味・価値に基づく作業の提供の重要性が強調される.特に,自らがどうあることに価値をおいているのかという信念を反映する「自分らしい作業」への支援は,活き活きとした生活の再構築には重要な視点である.しかし重度失語症者の場合,それらをインタビューにて捉えることが難しい.今回,重度失語症のある事例A氏の訪問作業療法で,A氏から「手記(手帳)」を手渡された.そして「手記(手帳)」を分析することにより,A氏の人生観・生活観を理解し,「A氏らしい作業」への支援を行うことができた.