本研究の目的は,軽費老人ホーム入居者で完全自立しておらず,リハビリテーションや食事以外の活動に参加しない高齢者を対象に転倒群と非転倒群に分け,転倒要因と結果から考えられる作業療法士(OT)の課題の明確化である.身体機能,日常生活評価(FIM),転倒転落リスク評価(FRI-5)を含む7項目を評価した結果,睡眠時間とFIMに両群間で有意な差を認め,FRI-5とは睡眠時間とFIMで負の相関を示した.睡眠時間の短縮とADLの介助量が多いことが,転倒しやすいパターンの一つであると推測される.さらに,環境調整に加え個々のニーズに合わせ自発性および活動性を向上させる作業療法プログラムを立案することが,OTの課題であることが示唆された.