抄録
本研究の目的は,自動車運転再開可否判定とドライビングシミュレーター(以下,DS)による結果との関連性を検討することである.経験に基づいた判定だけでなく,より客観的なデータに基づいた評価を実施するために,後方視的にDSと運転再開可否判定の結果から基準値の算出を試みた.対象は,脳損傷後に当院を受診した運転再開希望者50名(運転再開群27名,運転非再開群23名)であった.DSの下位検査項目について群間比較を実施しカットオフ値を検討した.カットオフ値が算出されたのは誤反応合計,発進停止合計,全般合計,判定得点合計であった.3つ以上カットオフ値を上回った症例は,非再開と判定される精度が78%であることが明らかになった.