作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
実践報告
脳卒中後の重度上肢機能障害に対してMirror Therapyを含む複合的な介入を実施した一症例
埴岡 大輝竹林 崇竹内 健太島田 眞一
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 39 巻 3 号 p. 333-340

詳細
抄録

Mirror Therapy(以下,MT)は,脳卒中後の上肢機能障害に対してエビデンスが示されてきた治療である.今回我々は,脳卒中による重度の上肢機能障害に対して,エビデンスが確立されている電気刺激療法やロボット療法などを複合的に実施したが,手指の随意伸展運動が全く出現しない症例を経験した.その症例に対して,回復期後期にMTを実施した結果,示指の随意伸展運動の改善を認め,麻痺手単独での課題指向型練習が可能となり,生活の一部で麻痺手を補助的に使用することが可能となった.MTの回復メカニズムに未だ不明な点はあるが,重度上肢機能障害に対するMTを併用した複合療法は,上肢機能の改善の一手段となる可能性がある.

著者関連情報
© 2020 一般社団法人日本作業療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top