作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
実践報告
上肢運動失調患者が箸操作に至るまでの過程
─事例に物・道具と手の運動を意識づけた介入─
瀬川 大
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2020 年 39 巻 3 号 p. 348-354

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抄録
小脳出血により右上肢の運動失調を呈する事例に対して,箸操作の自立を目標に作業療法を実施した.事例は,麻痺側右手に過剰に力が入った状態で,箸を握り込むように把持していた.そして,右手の揺れを止めようとして箸の握り込みが強まり,操作対象からの感覚情報とその変化を知覚することが困難な状態にあった.手指の目的的な活動を促通するために,手全体で物品を握るおよび扱う活動で,手指の屈曲・伸展を連続的に誘導した.その後,切る,混ぜる,つまみ上げる,の3つの工程に分けた箸操作を実施し,箸先を整える動作を誘導した.その結果,事例は実用的に箸を使用することが可能となった.
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© 2020 一般社団法人日本作業療法士協会
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