2020 年 39 巻 3 号 p. 355-364
本研究は東京都大田区の作業療法士(以下,OT)を対象に,復職・就労支援(以下,支援)の実態を調査し,今後OTが取り組むべき課題を明らかにすることを目的とした.医療・介護・福祉領域のOT 105名の分析から,平成28(2016)年度の一年間で支援を実施したOTは47.6%で,その内容は身体機能訓練やパソコン操作が主であり,健康管理や日常生活技能など職業準備性に関する支援は少ない実情が伺われた.医療では支援体制の整備と方法の確立,そして介護・福祉では支援を必要とする対象者の把握と需要の拡大が課題であることが示され,地域包括ケアシステムの実現に向けて,地域ぐるみで支援体制を構築する必要があると考えられた.