抄録
要旨:回復期リハビリテーション病棟に入院中のうつ症状や認知症状がある患者2名を対象に,心理的アプローチとしてコラージュを用いた回想法を実施し,KJ法を用いて心理的アプローチの作用と心理変化を構造化して分析した.「患者役割」に徹していた患者は,回想によって過去を思い返し,コラージュによって,その思いを具現化したことで,時間の経過の中に自己の一貫性を得た.これは「目標の出現」,「行動への意欲」,「未来への想い」へと心理的変化を生み出した.発動性の低下した患者にこれらの心理的アプローチを行うことは,自身によって主体的に活動する心理変化のきっかけとなり,自宅退院に向けた行動変容に発展した.