抄録
要旨:本事例は,高位脛骨骨切り術後の疼痛によって破局的思考や不安などの心理的要因を認めた.これらにより生活が阻害されたことで能力障害が強まり自己効力感が低下していた.しかし,対処スキルが乏しいため対処リストを作成した.事例は,作業療法実践に対処リストを併用することで,疼痛や不安状況での対処が可能となり,疼痛や不安が軽減した.リスト併用後は能力障害が改善し,カナダ作業遂行測定(COPM)においても,階段,歩行,料理の遂行度と満足度が向上した.本事例を通して,術後疼痛によって破局的思考や不安などの心理的要因が増悪し,能力障害を認める事例に対して対処リストを用いることは,目標達成の促進に繋がる可能性が示された.