2020 年 39 巻 6 号 p. 704-714
要旨:ポジティブ作業に根ざした実践(以下,POBP)は,精神障害者の幸福の促進に有用であることが確認されている.他方,その介入に影響を与える個体差の要因は未検討である.本研究の目的は,POBPの介入に影響を与える個体差の要因を検証することである.対象は精神障害者であり,POBPに参加経験のある19名とした.分析は,POBP参加中に収集した縦断データを使用し,潜在曲線モデルを用いた.分析の結果,POBPの介入に影響を与える要因は入院回数の可能性が高いことが示された.POBPは入院回数の要因を除き,診断名,年齢,性別,生活環境,治療期間による個体差を超え,クライエントの幸福に寄与できる可能性がある.