抄録
要旨:約20年間ひきこもっていた緘黙症状を呈する40歳代の女性に,主に自宅で10ヵ月間作業療法を行った.介入中のLiebowitz Social Anxiety Scale日本語版は社交不安の徴候を示した.作業療法では手芸をしながら,非言語的に交流し,次にClosedからOpen-questionへ段階づけて質問した.また材料の買い物やバザーでの作品販売を行った.結果,事例は自発的に発語し,電車を利用して単独外出可能となった.言語を要さない活動を用い,作品を介して他者と交流するといった作業療法の治療的要素は,対人場面への暴露による不安を緩和させつつ,発語や外出行動を促す上で有用であった.緘黙症状とひきこもりに対する作業療法の有効性が示唆された.