作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
実践報告
緘黙症状を呈する長期ひきこもり事例の発語と社会参加に作業療法が有効であった一例
真下 いずみ
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2021 年 40 巻 1 号 p. 79-86

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抄録

要旨:約20年間ひきこもっていた緘黙症状を呈する40歳代の女性に,主に自宅で10ヵ月間作業療法を行った.介入中のLiebowitz Social Anxiety Scale日本語版は社交不安の徴候を示した.作業療法では手芸をしながら,非言語的に交流し,次にClosedからOpen-questionへ段階づけて質問した.また材料の買い物やバザーでの作品販売を行った.結果,事例は自発的に発語し,電車を利用して単独外出可能となった.言語を要さない活動を用い,作品を介して他者と交流するといった作業療法の治療的要素は,対人場面への暴露による不安を緩和させつつ,発語や外出行動を促す上で有用であった.緘黙症状とひきこもりに対する作業療法の有効性が示唆された.

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© 2021 一般社団法人日本作業療法士協会
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