抄録
骨盤部悪性腫瘍に対し,創外固定術を併用したHip transposition法が施行された,10歳代女性の作業療法を経験した.術前評価では,すでに進学が決定しており,復学に対する不安がみられた.早期よりトイレ動作訓練を中心に行い,術後19日で便座での排泄が可能となった.創外固定器抜去後は,更衣・入浴動作訓練を中心に行った.術後75日で一時自宅退院となり,1年後の復学までの間に自動車免許を取得し,自家用車での通学も可能となった.今回,退院後も作業療法を継続し,様々な場面を想定したアプローチを行った.その結果,目標としていた復学が可能となり,社会復帰を見据えた作業療法の長期的な関わりの重要性が示唆された.