抄録
中心性頸髄損傷の上肢麻痺に対し,標的筋を電気刺激しながら筋収縮を促す,持続的神経筋電気刺激と促通反復療法の併用療法を行った.症例は60歳代男性で,第3-5椎体で脊髄圧迫を認めた.右上肢の手指巧緻性に関して,簡易上肢機能検査8-10の平均所要時間が,14週間の訓練で50.7秒から13.1秒へ,37.6秒短縮した.併用療法終了後は6ヵ月で13.1秒から9.6秒になり,3.5秒の短縮であった.Spinal Cord Independence Measure self-careは,9週間の訓練で9点から19点に,10点改善し,他の治療と同等の改善度を示した.この併用療法は,上肢麻痺やADL改善に有効であることが示唆された.