抄録
本研究の目的は,脳血管疾患患者(以下,CVD)の「発症を契機とした変化」の因子構造および,各因子と心理社会的側面との関連を明らかにすることである.調査対象はCVDが所属する患者会員とし,得られた318名の有効回答について,回答の偏りを確認後,因子分析および偏相関分析で解析した.結果,「発症を契機とした自己概念や活動指標の変化」が18項目4因子構造,「発症を契機とした家族に対する視点の変化」が8項目2因子構造であることが推定され,一部の因子と心理社会的側面との弱い相関を認めた. 作業療法士がCVDの「発症を契機とした変化」への対処能力を育て,ポジティブな変化を促すために介入する意義が示唆された.