作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
実践報告
Pusher現象を呈した脳卒中患者に対する作業療法によりADL改善がみられた一症例
─身体垂直性の再学習に着目したアプローチと長期経過─
本間 莉那大瀧 亮二笹原 寛斎藤 佑規竹村 直
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2021 年 40 巻 5 号 p. 683-690

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抄録

Pusher現象を呈する脳卒中患者のうち約80%は,発症約3ヵ月でPusher現象が消失すると報告されている.Pusher現象が長引く場合,リハビリテーションの効果は低く,ADLの回復に影響を与え,結果入院期間が長期化するとされている.今回,脳卒中発症後3ヵ月以降もPusher現象が残存し,ADLに全介助を要した症例に対して,Pusher現象の発生機序とされている主観的身体垂直(SPV)の再学習を目的に長期的な作業療法を実施した.結果,Pusher現象が軽減し,ADLの自立度が向上した.Pusher現象の発生機序や病態を理解したうえでの,段階的で長期的な作業療法は有効である可能性が示唆された.

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© 2021 一般社団法人日本作業療法士協会
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