抄録
脳卒中後アパシー(Post-Stroke Apathy:PSA)を中心に複数の精神症状を認めた70代女性を担当した.症例は,情動感情処理障害や認知処理障害が顕著だったが,興味関心チェックリストより,〈カラオケ〉や〈親族とのおしゃべり〉に関心を抱いていることが伺えた.そこで,他者交流を介した自己効力感の向上や,自他への興味関心を引き出すことを目的に小集団活動を試みたところ,導入中は一部症状の改善が認められた.また,本人にとって「意味のある作業」を取り込めれば,集団から得られる作用を高められる可能性も示唆された.ただし,1症例による検討のため,今後は症例数を増やし科学的に証明することが必要である.