入院中の統合失調症者に対し,作業機能障害に焦点を当てた介入を行い,リカバリーに与える影響を検討した.評価は作業機能障害の程度,リカバリープロセス,語り,行動,注意サインの出現回数とした.介入は作業機能障害の原因を面接にて共有し,希望する作業を実施するための環境調整や,症状に対する対処プランの作成を協働で行った.その結果,注意サインの出現がなくなり,作業機能障害の改善とともに本人の語りや行動,リカバリープロセスに前向きな変化がみられた.作業機能障害に焦点を当てた介入は当事者の主観的体験を捉え,協働することに貢献すると考えられ,リカバリー志向の作業療法における具体的方策の一つとなる可能性がある.