2023 年 42 巻 2 号 p. 135-140
本研究の目的は,パーキンソン病患者の認知機能・前頭葉機能が転倒に及ぼす影響を明らかにすることである.対象は当院で入院加療したPD患者81例,Hoehn&Yahr重症度分類Stage2~4の患者であった.転倒回数により3群に分類し,MMSEおよびFABの総点数との関係について多重ロジスティック回帰分析を用いて解析した.また,Yahr分類とMMSEおよびFAB総点との関係は,Spearmanの順位相関係数を用いて分析した.非転倒群と複数回転倒群のMMSEおよびFABの総点数との間に有意な相関を認め,FABの総点数は,転倒予測因子として抽出され,前頭葉機能低下が転倒と相関していることが示唆された.