2023 年 42 巻 2 号 p. 213-220
対象は一般就労を希望する50代男性の通所リハビリテーション利用者であった.腰痛と体力低下を認め,自律神経失調症を患い抗精神病薬等で治療継続中であった.作業療法士は利用者が就労の阻害要因として受け止めていた「高齢であること」という点から就労支援を開始し,実生活で体力向上のための外出を増やす計画を自己決定のうえ実践し,結果を振り返った.その結果,一般就労への通過点として主観的満足を伴い福祉的就労に至った.以上から,実現可能性の低い就労目標をもつ利用者が納得し目標変更するには,障害の受容状態への着目と,自己決定を尊重され,実生活で経験しそれを共有する機会をもつことが重要であると考える.