2023 年 42 巻 3 号 p. 377-382
筆者らは,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)による両側腓骨神経麻痺,左正中神経麻痺,心不全を発症し,発症4ヵ月後にADL自立で退院した事例を経験した.OTでは上肢機能訓練,心理的支援,心不全教育,運動耐容能に応じたADL/IADL,外傷・転倒等のリスク管理を指導した.その結果EGPA患者へのOTにおいて,病勢や患者の状態の理解,併存する症状や心理面への考慮,回復に応じた介入内容と負荷量の検討が重要であると考えられた.また,EGPAへの作業療法士の関与は,回復に時間を要する中で,転倒や関節拘縮,抑うつ症状の増悪などの二次障害を予防し,ADL自立や家事への復帰に良好な影響を与える可能性が示唆された.