本研究はBox and Block Test(以下,BBT)が,急性期脳損傷患者に対して評価可能な食事動作に関連する評価指標となりうるかを明らかにすることを目的とした.対象は78名(食事動作自立群:54名,非自立群:24名)であった.その結果,2群間でBBTに有意な差があり,その効果量も大きいことが確認された.また,BBTは食事動作の自立度と高い相関関係を示し,Receiver Operating Characteristic曲線のArea Under the Curveでは良好な判別能を示した.そのため,BBTは急性期脳損傷患者の食事動作の自立度に関連する上肢パフォーマンスの評価指標となることが示唆された.
今回,自己の作業遂行能力を高く認識するパーキンソン病を呈したクライエント(以下,CL)に対してAssessment of Client’s Enablement(以下,ACE)を使用した結果,面接で挙げられた各作業におけるGAPスコアは高く,作業療法士とCL間の作業遂行能力の認識の差が明らかになった.作業遂行の認識のギャップを修正するために作業遂行場面を撮影し,フィードバックとともに協議することでACEのGAPスコアは減少した.このプロセスにより,作業療法士とCLは協業することができた.この実践から作業遂行の認識の差に着目し,作業遂行場面を共有することは,協業の一助となると考える.
本実践報告の目的は,精神科病院に入院している依存症患者に対して作業療法介入プロセスモデル(OTIPM)を用いた個別プログラムを実施することが作業遂行および社会交流技能に与える影響を検討することである.研究対象者10名について個別プログラム実施前後を比較すると,カナダ作業遂行測定(Canadian Occupational Performance Measure;以下,COPM)の遂行度(p=0.009) ,COPMの満足度(p=0.006),社会交流技能評価(Evaluation of Social Interaction;ESI)(p=0.018)において有意な改善が認められた.