作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
実践報告
重度感覚障害を呈した脳梗塞患者に対して3Dプリンタ製の自助具を用いたことで上肢機能の改善と食事動作獲得に至った経験
─事例報告─
宇都宮 裕人廣瀬 卓哉
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2023 年 42 巻 4 号 p. 517-523

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抄録

感覚障害により,日常生活において麻痺手の使用頻度が乏しい回復期脳梗塞患者を担当した.事例に対して,代償モデルを用いた3Dプリンタで作製した食事用自助具を提供した.同患者へは,自助具のニーズを確認しつつ,個別性に考慮した自助具の調整を行った.結果,感覚障害に変化はないが,自助具適応直後より麻痺手での食事動作の獲得,一部の上肢機能評価において短期間での臨床上意義のある最小変化量を超えた改善が得られた.以上の結果は,3Dプリンタで調整した自助具を代償モデルとして適応することは,事例の残存能力を活かした上で,食事などの事例にとって意味のある活動の獲得や上肢機能の改善に有用であったことが示唆された.

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© 2023 一般社団法人日本作業療法士協会
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