2023 年 42 巻 5 号 p. 604-613
本研究の目的は,作業療法で用いられる理論や実践手法に関する教育やそれらの実践経験が職業的アイデンティティに及ぼす影響について仮説モデルを作成し,その関連性を定量的に明らかにすることである.対象は身体障害領域や高齢者領域に勤務する作業療法士207名であった.このモデルを検証するために構造方程式モデリングを実施した.結果として,作業療法独自の理論や実践手法に関する卒後教育を受けて実践経験を積むこと,さらには性別や現在理想とする作業療法士の存在が職業的アイデンティティに影響を及ぼすことが明らかとなった.本研究にて検証したモデルより,職業的アイデンティティを高める教育方法の指針を示すことができる.