医療観察法の対象者の中には,精神疾患以外に知的障害や認知機能障害の併存が認められ,家事や調理の基本的技能の低さから生活が安定せず病状悪化につながる事例も多い.本事例にも知的障害と認知機能障害が認められ,健康や生活に無関心で不健康な生活を続けていた.作業療法や外泊訓練を通して,健康管理と家事や調理の技能獲得に向け,本事例が遂行できた内容に対して肯定的なフィードバックを用いて効率的な見本の提示や助言を行った結果,健康管理や生活技能の改善が図れた.医療観察法下における本事例への健康管理や生活技能への介入は,社会生活への価値を高めると共に再他害行為防止に作用し,社会復帰につながると考える.