2024 年 43 巻 3 号 p. 385-392
本研究の目的は,OSCEや症例検討,報告書作成においてeポートフォリオを活用した学内実習が,クリニカルリーズニング(以下,CR)の自己評価に与える影響とその要因について量的・質的側面から検討することである.学生37名を対象に,SA-CROTを用いて前後比較を行い,デイリーノートを計量テキスト分析にて分析した.結果,SA-CROT総得点・全因子において,実習前に比べ実習後に有意差(p<0.001)を認め,大きな効果量(r>0.5)を示した.計量テキスト分析では実践的評価や症例の情報整理と言語化の過程の経験が描出され,eポートフォリオは省察の機会となり,学内実習はCRの学習に寄与することが示唆された.