2024 年 43 巻 5 号 p. 669-678
橈骨遠位端骨折後の患側上肢の日常使用を促進するための意思決定支援ツールとしてADOC-DRFを開発した.ADOC-DRFには,生活場面における上肢の使用場面が描かれたイラストが,術後経過週数ごとの運動負荷量に準拠して配置されており,イラストの選択を通して患側上肢の使用場面の検討を行う.本研究では,12名の患者を対象にADOC-DRFを使用した作業を基盤とした実践の有効性について検証した結果,身体機能や患者報告式アウトカムにおいて介入前後で有意な改善が認められた.ADOC-DRFを使用した作業療法士を対象としたアンケート調査においても,臨床有用性について高い満足度が得られた.