重度片麻痺,重度構音障害を呈した症例に対して,症例の希望に沿った生活の実現を目指して,作業療法においてコミュニケーション手段の獲得を図った.パソコンを用いた後に,iPadを導入した.そして,症例と「自宅へ外出し,家族との時間を共有する」という共有の目標を設定した.多職種と連携を図り,症例は自宅へ外出することができた.症例はiPadを使用することで,家族とコミュニケーションをとることが可能となり,孤独感や希望,表情に変化を認めた.重度生活期脳卒中者において,症例と目標を共有した作業療法は,心理面に対して変化を促す可能性が示唆された.