2025 年 44 巻 3 号 p. 350-353
作業療法士は,臨床において自殺念慮や自傷行為のある人に接しているが,自殺や自傷行為について体系的に学ぶ機会が少ない.本研究では,作業療法士30名を対象に,自殺や自傷行為に関する研修会を介入として実施し,介入前後に,知識の評価「自殺対策について12の質問」,態度の評価「医療従事者の自殺予防に対する態度測定尺度」,自己効力感の評価「自殺予防におけるゲートキーパー自己効力感尺度」を測定した.その結果,知識,態度,自己効力感すべてにおいて有意に改善がみられ,効果量は中から大程度であった.自殺予防の講義と演習の組み合わせが効果的であり,知識だけでなく,態度や自己効力感も改善することが示唆された.