2025 年 44 巻 5 号 p. 522-528
今回,自傷行為によりSpaghetti wristを受傷し,意欲の低下に伴って十分に自主訓練が遂行できない事例を経験した.薬物療法や精神状態に合わせた治療環境の変更,支持的な関わりを行った.そして,精神症状の改善に合わせて目標設定を行い,作業療法を実践した結果,自主訓練の頻度が増加し,手指機能の改善とニードである編み物の獲得に至った.このことから,自傷行為に伴うSpaghetti wrist事例において,精神状態に合わせた目標設定に基づく作業療法は,内的動機づけを高め,自主訓練の促進に寄与し,手指機能の改善やニーズの獲得に有用である可能性が示唆された.