2025 年 44 巻 5 号 p. 575-582
本研究の目的は,JICA海外協力隊作業療法士の要請案件の傾向を分析し,ニーズと役割を明らかにすることである.2021年~2023年の93件の一般案件を対象に,KH Coderを用いて頻出語リスト,多次元尺度構成法,共起ネットワーク分析を実施した.結果,地域別ではアジアと中南米が約80%を占め,発達領域と身体領域が全体の80%以上を占めていた.発達領域では特別支援教育と早期療育を軸とした地域支援,身体領域では神経系疾患への介入が重要であった.これらの支援を効果的かつ持続可能にするためには,適正技術を基盤とした人材育成とツイントラックアプローチを活用した啓発活動が必要であることが示唆された.