本研究の目的は近年増加傾向にあるスキー場周辺で発生する雪崩の被害を未然に防ぐことであり, そのためには有効な避難勧告の時期や範囲の設定を行う必要がある.雪崩現象については未解明の部分も多く残されているため, 本研究では, 気象条件, 地形条件, 植生の3つの経験則を利用してファジィ推論による雪崩危険度監視システムを開発した.はじめに各条件に対するメンバーシップ関数を提案し, 個々の条件が過去の経験と適合することを確認した後, WSを利用して対話形式のシステムを作成した.一方, 避難勧告のためには危険個所で発生した雪崩の到達範囲も推定する必要がある.本研究ではPerlaらのモデルを基礎として, 雪崩運動中の抵抗値, 雪の取り込みを考慮したうえで, 雪崩の質点中心の運動を扱うことにより3次元地形における雪崩の運動を解析する方法を提案し, 監視システムに組み込んだ.本システムのデータベースは試作ではあるが, 雪崩発生危険度の推定の可能性を示すことができた.