抄録
本論文では、CVMに基づき、貴重な動植物が生息する非利用価値の高い水辺環境を保全する活動への支払意志額と、その支払意志額に対する住民意識について論じる。宇都宮市では、ため池として利用されていた鶴田沼の貴重な自然環境を保全する活動を行っており、アンケート調査によりこの保全活動に対する支払意志額と住民意識を得る。支払意志額と住民意識は2つの手法を用いて分析する。第一に、ランダム効用モデルを用い支払意志額を分析する。第二に、共分散構造分析を用い住民意識の構造化を図る。この結果、保全活動への参加意志の決定と支払意志額の決定の間には構造に違いが見られ、非利用価値は必ずしも支払意志額に反映されないことがわかる。