「ルネサンス・デ・シテ」は、第一次世界大戦後のフランスの戦争被災地の復興を支援するために、1916年に設立されたフランスのアソシエーションである。ル・コルビュジエは1918年からこのアソシエーションの活動に関わった。本稿は、まず最初にこのアソシエーションの組織と活動を概観し、次いでそこでの活動がル・コルビュジエの都市デザインに与えた影響を考察する。結論は以下の通り。ル・コルビュジエ自身はこのアソシエーションについて語ることはほとんどなかったが、実際には技術部会の創設メンバーとしてその活動に深く関わり、特に次の2点において非常に大きな影響を受けた。ルネサンス・デ・シテの活動においては戦争被災地に遍在する問題を理想的な「定型モデル」を提示することによって解決しようとする手法が積極的に試みられた。ル・コルビュジエはこの手法については極めて肯定的であり、「定型モデル」による都市デザインを積極的に実践した。またその活動においては被災地のリージョナリズムが意識的に尊重された。しかしル・コルビュジエはこの手法については極めて否定的であり、徹底的なアンティ・リージョナリズムによる都市デザインを実践した。