2003 年 38.3 巻 p. 529-534
パラトランジットシステムは大量輸送と私的な交通の二重の特徴を持っている公共輸送機関である。本論文ではパラトランジットシステムの一種であるトルコ国カイセリ市でのドルムシュバスシステムを考察する。このドルムシュは運行間隔などが規律的に運行されるなど、運行管理がほぼ統制化されており、トルコ独自の歴史的経緯で発達してきた。本研究では、ドルムシュの歴史的経緯から、トルコ国カイセリ市の現在のドルムシュと市バス・民営バスとの運行関係が成立する経緯を概観するとともに、一般市民を対象としたデータに基づいて、ドルムシュと競合するバスとの交通手段選択モデルを構築する。ここでは通勤目的や買物目的における相異も考慮しながら、競合する交通手段間におけるドルムシュの具体的な利便性を明らかにする。