都市計画論文集
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観光地の成立過程における記号化に関する計画論的研究
岐阜県大野郡白川村を事例に
黒田 乃生小野 良平
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2003 年 38.3 巻 p. 679-684

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抄録
観光地の成立過程において、潜在的な資源が記号化され、「観光の対象」として意味を付与されるためには、観光経済の発展における内的・外的作用が必要である。この記号化の作用は「観光計画」の重要な一面であるといえる。一般および村が白川村を「観光地」として認識したのは1970年代である。一方、認識される観光資源が史跡から合掌造りの建物へと変化する時期は一般にくらべて村が遅く、白川村が当初一般社会からの認識に呼応する形で資源の認識が進んだことが明らかである。その後、村は内的作用によって資源を新たに作り出していったものの、それが来訪者から消費対象として認識される記号となるには至らなかった。観光とは地域にとってそこに投影される「まなざし」の中でどのような自己認識を行なうのかという相互関係の中にあり続けること、という視点が計画の立場にも必要である。
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© 2003 公益社団法人 日本都市計画学会
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