抄録
本研究は,地方都市における良好な都市景観形成を目指して,都市景観評価にエキスパートシステムの適用を行ったものである.景観の変容が激しい地方都市を対象として,景観整備事業の際に専門家に代わり景観評価および景観整備に対するアドバイスを行うための都市景観評価システムの構築を行った.都市景観行政の現状を調査し,次に都市景観の構造を定義して評価論理を構築した.評価システムでは 126個のルールを使用し,最終評価項目は「構造物の意匠性」,「視覚的な調和性」,「立地の風土性」の3項目である.景観評価結果として,評価得点と評価プロフィールを提示することができる.また,推論過程をトレースすることで,評価結果の要因を探ることができ,改善案を容易に検討することができる.最終的には都市景観整備の実務に即した具体的アドバイスを提供することができる評価システムが構築された.