抄録
本研究は、新規出店者を商店街に取り込んでいくことが中心商店街活性化において重要であるとの観点から、富山市中心商店街を対象に、業種構成の変化から店舗の受け皿としての中心商店街の変容を明らかにするとともに、新規出店者に対するアンケート調査から出店理由、出店上の問題点について明らかにした。中心商店街における店舗構成は 1963年当時、現在と比較して偏りなく多業種が混在していたが、徐々に衣料品・身の回り品への偏重がみられるようになってきた。一方、中心商店街で減少が目立つ業種は、郊外型商業集積エリアが受け皿となっていることが確認できた。また新規出店者は中心商店街の状況を厳しいものと判断した上で出店し、営業を続けていることが明らかとなった。今後郊外へ展開する意向を示す経営者もいるが、中心商店街での立地優位性が確保されているこうした業種を定着させていくことが必要である。また店舗の賃料に関して、不動産業者は地価から想定される価格より値を下げて貸しているものの、空き店舗は解消されない状況にあり、出店者と不動産業者間に認識のずれが生じていることが明らかとなった。