都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
Print ISSN : 0916-0647
ISSN-L : 0916-0647
九州地方における市町村都市計画審議会の公開性に関する研究
新城 龍成吉武 哲信梶原 文男出口 近士
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2004 年 39.3 巻 p. 451-456

詳細
抄録

本論文は,平成 12年度都市計画法改正により市町村都市計画審議会の権限が強化されたことをうけ,都市計画のアカウンタビリティの観点から市町村都市計画審議会の情報公開に関し調査を行ない,その結果から情報公開のあり方に関する考察を行なったものである.アンケート調査は九州内の都市計画区域を持つ 264市町村に対し行なった.主な調査項目は,1)委員名簿の公開,2)議事録・議事要旨の公開,3)市町村都市計画審議会の傍聴,4)公開に対する現状評価と今後の方向性である.分析の結果,次のことが明らかになった.1)委員名簿を受動的な手法で公開している自治体が多い,2)議事録・議事要旨に関しても受動的公開が多い,3)傍聴に関しては原則非公開の自治体が多い,4)今後の公開の方向性については,自治体担当者は「公開」を進めることに関しては慎重である.以上のように,市町村都市計画審議会についてはアカウンタビリティの基礎をなす情報の公開が不十分といえる.また「公開」に関する行政側の「インセンティブ」の欠如している.住民とのインフォームド・コンセント的な関係の構築のためには,いっそうの自主的な情報の公開が必要である.

著者関連情報
© 2004 公益社団法人 日本都市計画学会
前の記事 次の記事
feedback
Top