2004 年 39.3 巻 p. 457-462
本研究は,平成 12年度の都市計画法改正により市町村都市計画審議会(以下、都計審)の運営が重要になったことに鑑み,1)開催回数や開催時間等の都計審の開催状況,2)都計審開催以前の事前説明および調整,3)都市計画法および政令(政令第十一号)で定められた,建議,専門委員等の制度の活用に関するアンケート調査を九州内の都市計画区域を持つ 264市町村に対して行ない,今後の運営のあり方に関し考察したものである.その結果,地方部の都計審では1)案件数,開催回数ともに少ない,2)約半数の都計審が事前面談を行なっている,3)事前面談によって案件の提案内容,方法を変更した都計審は極めて少ない,4)事前面談を行なう都計審は,開催回数や審議時間が少ない傾向がある,5)修正案,対案を答申した都計審は少数である等が明らかになった.以上より,市町村都市計画審議会の運営はアカウンタビリティのみならずレスポンシビリティをも充分に果たしているとは言い難いが,一方で,重大な問題が発生したときには都計審が最終的に専門的,客観的視点を担保する場となりうる可能性は保持しているといえる.