本研究は、神戸市の調整区域に適用された「人と自然との共生ゾーンの指定等に関する条例」(以下、共生ゾーン条例)を対象に、地区レベルの詳細計画に基づく開発立地コントロールの実効性について明らかにすることを目的としている。本研究の分析の結果、共生ゾーン条例で地区レベルの詳細計画(里づくり計画)の実現手段として使用されている農村用途区域による土地利用コントロール上の課題として、1)届出の契機が確保しにくい開発があること、2)4ゾーン制による立地コントロールの限界があること、3)特例的緩和用途の扱いがルーズであること、4)協議会に依存した開発コントロールには限界があることが明らかになった。地区レベルの詳細計画の実効性を高めるためには、地区住民の誰もが開発協議の主体となりうる仕組みを制度上明確に位置づける必要がある。