2004 年 39.3 巻 p. 523-528
本研究の目的は,住宅団地の自動車交通問題が社会的ジレンマの1つである「共有地の悲劇」の問題構造を有していることに着目し,社会心理学を中心とする共有地の悲劇に関する既往の知見から,住宅団地の自動車交通問題の解決に結びつく糸口を得ることである.本研究では,大阪南港ポートタウンで実施されているノーカーゾーンという,居住区域内を車両通行禁止とする交通政策に着目する.ノーカーゾーンは,路上駐車がまん延した時期があったことから,「失敗」と評価され,これまで研究が行われていない.そこで,共有地の悲劇における知見から,「取り締まり・規制の必要性に対する合意」に着目し,入居時のノーカーゾーンに対する受容度の低下が,路上駐車まん延の要因であることを明らかにした.